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Greeting
ご挨拶

新学習指導要領全面実施に向けて

大分県中学校英語教育研究会

会長 佐脇武志

■シュリーマン(1822~1890)という人物をご存知でしょうか?ドイツの考古学者、実業家であり、ギリシャ神話に登場する伝説の都市トロイアを発掘した人物です。彼は十数ヶ国語をマスターしたと言われており、自伝「古代への情熱」の中に、多くの外国語をどのようにして習得していったのか詳細に書かれています。

■自伝によると、彼の学習動機は「みじめな境遇と、努力すればそこから抜け出せるということ」「恋人にふさわしい人間になりたいこと」の2点であったようです。努力の結果、驚異的な語学力を身につけ、それを活かした貿易関係の仕事等に取り組み財産を築きます。その財力をもって発掘作業に着手し次々と事跡を発掘していくことに成功します。

■彼の学習方法について、以下自伝の言葉からそのまま引用します。「必要に迫られて私はどんな言語でもその習得を著しく容易にする方法を編み出したのである。大きな声でたくさん音読すること、ちょっとした翻訳をすること、毎日一回は授業を受けること、興味のある対象について常に作文を書くこと、そしてそれを先生の指導で訂正すること、前の日に直した文章を暗記して、次回の授業で暗誦すること、である」。

■およそ170年前の学習方法ですが、現在にも十分通じる優れた方法だと言えます。新学習指導要領では、文法事項は実際に英語を使っていく中で習得させる旨になっており、シュリーマンも文法中心の学習は否定しています。また「興味のある対象について常に、作文を書き、添削を受け、暗記、授業で暗誦する」という方法は、新学習指導要領に記載されている外国語科の目標の中にある「関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて即興で伝え合う(話す)ことができるようにする。関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて正確に書くことができるようにする」に通じたものだと思います。

■さて、今年度は新学習指導要領への移行期間最後の1年です。来年度の全面実施に向けて新学習指導要領に基づく授業改善を十分に進めておく必要があります。端的に言えば、『授業を外国語で行い、対話的な活動や、実際に活用する言語活動を重視する。』ということになります。特に留意すべき点としては、①言語活動は、自分の考えや気持ちを、お互いに伝え合うものであること。②指導すべき語彙については、使用させたい発信語彙と理解できればよい受容語彙の区別をしながら、言語活動の中で繰り返し活用させながら定着させること。③文法事項は、導入時に日本語で説明するのではなく、英語を使って導入することにより何を意味しているのか今まで習った文との違いは何かなどの気づきを大切にし、使いながら習得させる指導をすること。などがあげられます。また、小学校の外国語教育で重要視しているSmall Talkをしっかりと引き継ぎ、中学校における即興で伝え合う活動につなげていく必要もあります。

■最後に、今年度は新型コロナウイルス感染防止対策のため、英語弁論大会や各種研究大会の中止を余儀なくされてしまいました。そのような中、中英研は、SELT-Oita (The Seminar of English Language Teachers in Oita)で研修会を行うことは継続しています。県内の英語教師が集い、英語の授業について実践交流できるセミナーです。是非ご参加ください。

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